FBA在庫を毎月“自動で”棚卸し評価する
月末の在庫金額を、手で集計しない
業務改善コラム / Amazon・仕組み化・自動化 / 読了目安:約9分
月末になると、決算や試算表のために「いま在庫がいくら分あるか(棚卸資産)」を出さなあかん。Amazon FBAだと、これが地味に重いんです。在庫は複数倉庫に分散して、毎日動いて、しかも原価と紐づいていないから。
うちは自社のネット通販の経理で、この月末作業をAmazonから在庫データを自動で受け取って評価する仕組みに置き換えました。考え方と設計の流れ、それと実際につまずいた点(一度に呼び出せる回数の上限)まで、できるだけそのまま書きます。
1. なぜFBA在庫の棚卸しは面倒なのか
計算式そのものは単純です(在庫数 × 原価)。しんどいのは、その材料を集める工程のほうでした。
- 在庫が分散している:FBAの在庫はAmazonの複数の配送拠点に散らばり、さらに「販売可能」「入荷中」「保留」など状態も分かれる。
- 毎日動く:売れた・返品された・補充した……で数字は刻々と変わる。「いつ時点か」を固定しないと意味がない。
- 原価と紐づいていない:Amazonの画面に出るのは在庫"数"。評価額を出すには、自社で持っているSKU(商品の種類ごとの管理単位)ごとの原価と突き合わせなあかん。
これを毎月、画面からCSVを落として手で集計していた頃は、月初の数時間がまるごと消えていました。しかも手作業なので、どこかで必ず打ち間違える。
2. 何を自動化したか(全体像)
やったことは一言でいうと、「月末時点の在庫の状態をその時点の記録として自動で取って、自社の原価表と掛け合わせて評価額を出す」仕組みづくりです。 手でCSVを落とす代わりに、AmazonのレポートAPI(他社のサービスからデータを受け取る窓口)から在庫データを取って、原価表と突き合わせて、結果を表計算シートに記録して、最後に社内チャットのSlackへ通知する。それだけです。
| 工程 | 以前(手作業) | 現在(自動) |
|---|---|---|
| 在庫データ取得 | 管理画面から手でCSVダウンロード | レポートAPIで自動取得 |
| 原価との突き合わせ | 関数を組んで手で貼り合わせ | 原価表と自動で結合 |
| 評価額の算出 | 表計算で都度計算 | 自動計算(在庫数×原価) |
| 記録 | 毎月ファイルを別名保存 | 月ごとの記録シートに自動追記 |
| 共有 | 口頭・メール | Slackへ自動通知 |

3. 仕組みの流れ:取得→評価→記録→通知
① 取得
レポートAPIに在庫レポートを要求し、月末時点の記録を受け取る。
② 評価
SKUごとに自社の原価表と突き合わせ、在庫数×原価で評価額を算出。
③ 記録
月ごとの記録シートに、日付つきで自動追記。推移が残る。
④ 通知
「在庫評価額がいくらになったか」をSlackへ自動投稿。確認は数秒。
肝は「原価表」を一度きちんと整えることやと思ってます。ここさえ整えば、毎月の評価は完全に自動で回る。逆にここが曖昧なままやと、いくら自動化しても出てくる数字を自分が信用できません。
4. つまずき:一度に呼び出せる回数の上限
ハマったところも正直に書きます。最初は毎回レポートを新規作成して取得する作りにしていました。そしたら、レポートを連続で作ってるうちにAmazon側が決めている「一度に呼び出せる回数の上限」に当たってしまったんです。動いてたものが急に止まって、しばらく原因が分からんかった。笑
5. 月末はどう変わったか
前は「画面を開いてCSVを落として、関数で原価を貼って、合計して、ファイルを保存して……」をずっと手でやっていました。今は、仕組みが勝手に評価額を出してSlackに通知してくれるので、人は"確認するだけ"です。
効いたのは時短だけやありませんでした。毎月同じ条件・同じ時点で記録されるので、在庫評価額の「推移」が勝手に貯まる。「在庫が膨らみすぎてへんか」「過剰在庫の兆候はないか」を、後から振り返れるようになりました。こっちのほうが、じつは有り難かった。
6. 他社でも使える「在庫評価」の型
「いつ時点か」を固定する
毎日動く在庫は、月末などの基準時点を決めて、その時点の記録を取る。ここが決まってないと、後の計算が全部あやふやになります。
原価表を一度きちんと整える
数(在庫)と金額(原価)は別管理になりがち。突き合わせられる形に揃えれば、評価は自動化できる。
取得は「再利用優先」で組む
相手先のサービスには呼び出し回数の上限がある。毎回新規作成せず、直近のデータを再利用する設計にして"続く"形に。
記録を残し、推移で見る
単月の数字より、積み上がった推移のほうが判断に効きました。月ごとの記録シートに自動で貯めています。
7. まとめ
- FBA在庫の棚卸しが重いのは計算ではなく「材料集め」。分散・変動・原価未紐付けが原因。
- レポートAPIで月末時点の在庫記録を自動取得し、原価表と突き合わせれば評価は自動化できる。
- 相手先のサービスは呼び出し回数の上限に注意。毎回新規作成せず再利用する設計に。
- 毎月同条件で記録すると在庫評価額の推移が貯まり、過剰在庫の兆候も見えてくる。
正直に言うと、この仕組みを作った動機は「経理を良くしたい」やなくて「月初にあの作業をもうやりたくない」でした。笑 でも結果として、在庫の見え方まで変わりました。
「月末の在庫集計に毎回半日とられている」方へ
原価表の整備から、レポートAPIでの自動取得・評価・記録・通知まで、その在庫の実態に合わせて組みます。
私も同じ月末をやってきた側なので、現場で使える形に落とすところまで一緒にやります。同じことで困ってる人がいたら、まず話しましょう。
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