使っていないサブスク、年間いくら?
見えない固定費を「棚卸し」する
業務改善コラム / 仕組み化・自動化 / 読了目安:約8分
月額1,000円。たった一つなら気になりません。でも少額のサブスクが10個、20個と積み上がると、誰も全体像を把握していない固定費の山になります。 私たちは自社で実際に「サブスクの棚卸し」をやり、重複課金の返金や、使っていないライセンスの整理までを進めました。この記事では、その手順をそのまま公開します。特別なツールは要りません。今日から真似できます。
1. なぜSaaSの固定費は「見えなく」なるのか
サブスクの怖さは、金額の大きさではなく「気づけない構造」にあります。理由は3つです。
- 一つひとつが少額:月数百〜数千円だと「まあいいか」で見過ごす。でも年12回×複数年で積み上がる。
- 自動更新で黙って続く:解約しない限り、使っていなくても引き落とされ続ける。請求は静かに届く。
- 契約者がバラバラ:個人カード・会社カード・担当者ごとに契約していて、誰も全体を見ていない。
つまり、努力やコスト意識の問題ではありません。「一覧になっていない」から見えないだけ。だから最初の一手は、削ることではなく「並べること」です。
2. まず、全部を1枚に書き出す
クレジットカードの明細・各種ストアの購入履歴(App Store / Google Play)・PayPalなどを見て、毎月/毎年引き落とされている定額のものをすべて1枚の表に書き出します。見栄えは不要。まず全量を出し切ることがすべてです。
| サービス名 | 月額(年額) | 契約者/支払い | 最後に使ったのは? | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| ツールA | ¥1,500/月 | 会社カード | 毎週 | 残す |
| ツールB | ¥3,000/月 | 個人カード | 半年前 | 停止候補 |
| ツールC・D | 同種で2契約 | 別々の担当 | 両方たまに | 重複→1本化 |
| ツールE | ¥9,800/月(上位) | 会社カード | 下位機能のみ | ダウングレード |
ポイントは「最後に使ったのはいつか」を必ず書くこと。金額ではなく"使用頻度"が、やめる判断の主役です。
3. 4つの軸で「残す・やめる」を仕分ける
並べたら、各サービスを次の4つで仕分けます。感覚ではなく、機械的に当てはめるのがコツです。
① 使っている
直近1〜2ヶ月で実際に使った。これは残す。ただし上位プランが過剰でないかは別途確認。
② 重複している
同じ用途のツールが複数。担当が別々に契約していがち。1本に寄せる。
③ 惰性で続いている
「いつか使うかも」で半年以上眠っている。多くはここ。止めても困らない。
④ 解約漏れ・二重課金
乗り換えたのに旧契約が残っている/同一サービスを2回課金。これは「返金」を狙える。
4. 実際に出てきた「ムダの型」
私たちが自社でやったとき、出てきたのは派手な無駄遣いではなく、どの会社にもある"地味な型"でした。
- 二重課金していたツール:同じサービスを実質2回払っていた。サポートへ連絡したら、過払い分が返金された。
- 使っていない高機能ライセンス:年に数回しか開かないのに、毎月の上位プランを契約し続けていた。
- 過剰なプラン:下位プランの機能しか使っていないのに、惰性で上位プランのまま。ダウングレードで即削減。
5. 解約・ダウングレードの進め方
仕分けたら、あとは実行です。多くは管理画面から数クリックで止められますが、つまずきやすい点を挙げておきます。
- 解約導線が分かりにくいサービスがある。設定→契約→「プランの変更/解約」を粘り強く探す。
- 年額契約の途中は、次回更新日をカレンダーに登録し、更新前に止める。
- 二重課金・誤課金は、サポート窓口へ事実を添えて連絡すれば返金されることが多い。海外サービスでも、要点を箇条書きにした短い英文で十分通じます(私たちはこの交渉文の作成も支援しています)。
6. 一度で終わらせない:棚卸しを「仕組み」に
サブスクは放っておくとまた増えます。だから一度きりの大掃除で終わらせず、仕組みにして繰り返すのが本質です。私たちが勧めているのは次の3つです。
- 棚卸しは半年〜年1回、日付を決めて必ずやる(カレンダーに固定)。
- 新規契約は1枚の表に必ず追記。「契約したら書く」を習慣に。
- 更新日を一覧化しておき、更新の前に「まだ要るか?」を判断する。
これは、私たちがAmazon運用や経理でいつもやっていることと同じ発想です。一度やって終わりの「作業」ではなく、勝手に回り続ける「仕組み」にする。固定費は、その入口として一番取り組みやすいテーマです。
7. まとめ
- SaaSの固定費は「一覧になっていない」から見えないだけ。まず全部を1枚に並べる。
- 判断の主役は金額ではなく使用頻度。使ってる/重複/惰性/解約漏れの4軸で機械的に仕分ける。
- 二重課金・誤課金は返金を狙える。過剰プランはダウングレード。
- 一度で終わらせず、半年〜年1回の棚卸しを仕組み化する。
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