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仕組み化・自動化 業務改善コラム

「クーポンを出したら赤字だった」を防ぐ価格設計の考え方 ——受取金額から逆算する方式で利益率を担保し、100件超を一括更新した話

業務改善コラム / 仕組み化・自動化 / 読了目安:約8分

クーポンを出したあと、手取りを計算し直してヒヤッとしたことがあります。原因は単純で、「表示価格を決めてからクーポン額を引く」という順番で価格を組んでいたからでした。この順番だと、販売先サイトに払う手数料・送料・原価をすべて差し引いた後の利益が想定より大幅に縮むことがあります。この記事では「受取金額から逆算して表示価格を決める」やり方と、100件を超えるSKU(商品の種類ごとの管理単位)を自動で一括更新したときの流れを書きます。

クーポンが利益を食いつぶす仕組み

クーポンは、訪れた人のうち実際に買ってくれる人の割合を上げるのによく効きます。ただ、たいていは「まず表示価格を決め、その後でクーポン額を乗せる」という順番で作ってしまう。私もずっとそうでした。笑

この順番には落とし穴があります。たとえば表示価格から一定額を割り引くクーポンを常設する場合、割引後の受取金額に販売先サイトの手数料がかかるため、実際の手取りは「表示価格-クーポン額-手数料」ではなく「(表示価格-クーポン額)×(1-手数料率)」になります。さらにそこから原価・送料・梱包費を引いた残りが利益です。

クーポン額が大きいほど、この誤差は広がります。「クーポン前の利益率は問題なかったのに、クーポン後は赤字ギリギリだった」が起きるのは、だいたいこれです。

やりがちな勘違い:「利益率15%あるから¥1,500引きのクーポンを出しても大丈夫」と計算すると、実際にはクーポンの割引額がそのまま利益から差し引かれるため、利益率が想定の半分以下になることがあります。

逆算価格設計とは何か

逆算の価格設計といっても、やるのは順番を入れ替えるだけです。「表示価格を決めてからクーポンを引く」のではなく、「クーポン適用後にいくら受け取りたいかを先に決め、そこから表示価格を算出する」という順番にしてます。

先に固定するのはこの3つです。

  • 最低限確保したい利益率(例:10%)
  • 発行するクーポンの割引額
  • 販売先サイトの手数料率・送料・原価

この3つが決まれば、「クーポン後の受取金額が利益率10%を満たすための表示価格」は一意に出ます。価格を先に決めてクーポンを後付けするんじゃなくて、クーポンを「最初からかかる費用」として計算式に入れてしまう。これが効きました。

計算式の考え方(手順別)

実際の計算はこの手順で進めてます。料率や金額は商材・販売先サイトで変わるので、そこは自社の数字に置き換えてもらう前提です。

  • 手順1:クーポン適用後に必要な最低受取額を算出する。
    最低受取額 =(原価 + 送料 + 梱包費)÷(1 - 目標利益率)
  • 手順2:販売先サイトの手数料を逆算して加算する。
    クーポン後表示価格 = 最低受取額 ÷(1 - 手数料率)
  • 手順3:クーポン額を上乗せして最終的な表示価格を出す。
    表示価格 = クーポン後表示価格 + クーポン額
  • 手順4:買いやすく見える価格(〇〇〇円、〇万円台など)へ丸め、もう一度利益率を確かめる。
丸めが地味に効きます:手順4の丸めで切り上げると利益率は改善し、切り捨てると悪化します。目標利益率ギリギリのときは、私は必ず切り上げ方向で丸めてます。

この式を表計算ソフトや小さなプログラムに入れておくと、クーポン額や目標利益率を変えるだけで全商品の適正価格が自動で再計算されます。

大量の商品を一括で自動更新した作業の流れ

今回は、100件を超えるSKUの価格をこのやり方で一斉に見直しました。手作業だと数日コースです。小さなプログラムを組んで、この流れで処理しました。

  • 入力:商品一覧のCSVファイル(表計算ソフトで開ける一覧形式のファイル。原価・手数料率・旧価格・クーポン額を入れておく)
  • 処理:上記の手順1〜4を各行に適用し、新表示価格を計算
  • 差分確認:旧価格と新価格の差・利益率の変化を一覧で出し、目で確かめる
  • 更新:差分が確認できたらAPI(他社のサービスとデータをやり取りする窓口)またはCSVの取り込みで一括反映

いちばん効いたのは「差分確認」です。全件をそのまま流し込むんじゃなくて、値上げ幅が極端に大きいSKUや、逆に利益率が目標を超えすぎているSKUを抜き出して個別に見ます。今回は値上げとなった品目が大半でしたが、一部は旧価格のままが適切と判断して除外しました。

プログラム自体はPython(よく使われるプログラミング言語)で100行程度。大したものやないです。計算部分をひとまとめにしておくと、クーポン額や目標利益率が変わったときも1行直すだけで全件再計算できます。価格改定の回数が多い会社ほど、効きが大きいと思ってます。

クーポン自動適用との組み合わせ効果

価格設計を整えたあと、あわせてやったのが、クーポンが自動で適用される買い物の入口を作ることでした。クーポンの番号をお客様に手で入力してもらう形だと、入力を忘れた人・面倒に感じた人が途中で離れてしまいます。

そこで、クーポンが自動で適用された状態で買い物かごへ進めるURLを用意しました。SNSや診断ページから来たお客様にこの入口を使ってもらうと、クーポンで減る分を価格設計で吸収しつつ、お客様の手間も減らすが両立できます。

補足:クーポンを自動で適用する設定のやり方は、販売先サイトによって違います。自社ECならURLの末尾に付ける指定、モール系ならそのサイト側の機能を見るのが早いです。

自社で試す前の確認リスト

同じ仕組みを作ろうとしてる方向けに、私が先に確かめてる項目を並べます。

  • SKUごとに原価・手数料率・送料が正確に把握できているか
  • クーポン額は固定か変動か(固定額なら計算式に組み込める)
  • 価格改定の頻度はどのくらいか(月1回以上なら自動化の効果が高い)
  • 価格変更をAPIで行えるか、CSVの取り込みで行うか(販売先サイトの仕様を確認)
  • 更新前に差分を確認する作業を誰が担当するか(完全自動ではなく人の目を必ず入れる)

価格設計は「一度決めたら終わり」やなくて、クーポンや原価が動くたびに見直すものやと思ってます。計算式と小さなプログラムをセットで持っておくと、次からの改定はだいぶ楽になります。まずは主要SKUを数件だけ計算し直してみると、たいてい「あれ、思ってたより残ってへんな」が見えます。同じところで引っかかってる人がいたら、その数件を一緒に計算するところから話しましょう。

自社の価格設計、一度見直してみませんか?

「クーポンを出すと利益率がどう変わるか計算したい」「大量の商品の価格を一括で更新する作業を仕組み化したい」あたりで手が止まってる方は、LINEでメッセージをもらえたら一緒に考えます。予約も電話もなしで、テキストのやり取りだけで大丈夫です。

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