「整理整頓が苦手」だからこそ、
仕組みに逃がす
業務改善コラム / 仕組み化・自動化 / 読了目安:約8分
仕組み化や自動化は「几帳面で、きっちりした人」のものだと思われがちです。でも、私はその逆です。 正直に言うと、整理整頓が、ずっと苦手でした。フォルダはぐちゃぐちゃ、片付けも管理も得意じゃない。 その弱さを根性で直すのをやめて、「仕組みに逃がす」と決めてから、ようやく回り始めました。 この記事は、「苦手だからこそ仕組み化する」という、ちょっと逆説的な考え方の話です。
1. 仕組み化が得意なのではなく、苦手から逃げた
「いろいろ自動化していてすごいですね」と言っていただくことがあります。でも本当のところは、すごいから仕組みにしているのではありません。 放っておくと自分が必ず抜け漏らす、忘れる、散らかす——それが分かっているから、先に仕組みに預けているだけです。
几帳面な人は、ある程度は気合いと記憶で回せてしまいます。だから逆に、仕組みにする動機が弱い。 苦手な人間のほうが「このままだと事故る」という危機感が強いぶん、本気で仕組みを作ります。 苦手は、仕組み化のいちばんの燃料になるのです。
2. 「気をつける」で直らないものは、直さない
ミスをすると、つい「次から気をつけよう」と思います。でも、「気をつける」で直るなら、とっくに直っているはずなんですよね。 何度も同じところでつまずくなら、それは性格や根性の問題ではなく、仕組みが無いだけです。
だから私は、自分を直すのをやめました。代わりに、「自分がどうせやらかす前提」で、抜けを受け止めてくれる仕組みを作る。 人を責めず、自分も責めず、仕組みに肩代わりさせる。これは会社でも同じで、誰かの注意力に頼っている作業は、いつか必ず落ちます。
「気をつける」をやめて、
「気をつけなくてもいい形」に変える。
3. 何を仕組みに逃がすか(昇格の合図)
とはいえ、何でもかんでも自動化すればいい、とは思っていません。仕組みにするにも手間がかかるので、「逃がすべきもの」だけを選ぶ必要があります。私の合図はシンプルです。
- 同じ面倒が2回起きた:たまたまじゃない。これは繰り返す、と判断します。
- 「もう一回やりたくない」と思った:その感情が出た瞬間が、仕組み化のタイミングです。
- 自分の注意力だけが品質を支えている:自分が忘れたら破綻する作業は、危険信号です。
逆に、めったに起きないことや、一回きりのことは、無理に仕組みにしません。苦手で・繰り返す・落ちると痛い。この3つが重なったものから順に、仕組みへ逃がしていきます。
4. 小さく逃がす:チェックリストから始める
「仕組み化」というと、いきなり立派なマニュアルやシステムを思い浮かべがちですが、最初からそれを作ると重くて続きません。 私たちは、いちばん小さい形から始めて、効いたら昇格させるやり方をとっています。
まずは紙やメモのチェックリスト1枚で十分です。それで抜けが減れば、よく使う文章はテンプレにする、入力はフォームにする、と少しずつ形を上げていく。 最終的に「自分がいなくても回る」「新しく入った人が迷わない」状態になれば、それが完成形です。 完璧なマニュアルを最初に目指さないことが、続けるコツです。
補足:計算・検索・集計のような「速さと正確さ」で勝てる作業は、どんどんツールやAIに渡します。一方で、世界観をつくるデザインや、責任と価値観が乗る判断は、人が持つ。 この線引きについては「仕組み化は、次の人への優しさ」に書いています。
5. まとめ:弱さは、仕組みの設計図になる
仕組み化は、きっちりした人の特権ではありません。むしろ「自分はどうせ抜ける」と知っている人ほど、強い仕組みを作れます。 自分の苦手な場所こそが、「ここに仕組みが要る」という設計図そのものだからです。
直らない弱さを根性で直そうとして消耗するより、弱さを認めて、仕組みに逃がす。 そのほうがずっと楽で、ずっと続きます。もし「自分は管理が苦手で…」と感じているなら、それは仕組み化に向いていない理由ではなく、向いている理由かもしれません。
「いつも自分が抜ける作業」を、仕組みに逃がしませんか
管理が苦手でいつも同じところでつまずく。人に任せたいけど、任せ方が分からない。
そんなときは、まず「どの作業を仕組みに逃がすか」を一緒に洗い出すところからお手伝いします。